原理
比例計数管は、ガス中での電子のなだれ増殖を利用した検出器である。
基本構造を下図に示す。円筒形の容器の中に不活性ガスをつめ、
中に張った芯線に高電圧(1000-2000V)をかけることで計数管として動作させる。
比例計数管でX線を検出する過程を時間順に追っていくと以下のようになる。
- 入射したX線が封入ガスに光電吸収され、
X線のエネルギーに比例した数の一次電子雲を作る。
- 一次電子雲が電場に引かれて芯線の方に移動する。
- 芯線付近の電場が強い領域まで移動すると、
加速された電子がガスを電離し始める。
- 電離してできた電子が(加速されて)新たにガスを電離し、
(二次)電子がねずみ算式に増えていく。
- 増殖してできた電子が芯線に到達し、電気パルスを発生する。
比例計数管では、増殖してできる二次電子の数が一次電子数に比例するように
電場の強さが設定されている(比例計数管の名前の由来)。したがって、
最終的にできる二次電子数も入射X線のエネルギーに比例することになるので、
電気パルスの大きさから元のX線のエネルギーが推測できる。
比例計数管の信号処理回路では、
計数管から電気パルスが出力されるたびにそのパルスを増幅整形し、
パルス波高値を計測する。パルスの数をパルス波高値ごとに加算すれば、
エネルギースペクトルが計測できることになる。