Astro-E2衛星は、ご存知の様に、7月10日、日本時間12時30分、内之浦宇宙空間観測所から、M-V-6ロケットにより打ち上げられました。このミッションは2000年2月にロケットの事故で軌道に入れられなかったAstro-Eの再挑戦機です。Astro-E2プロジェクト開始にあたりましては、日本天文学会、高エネルギー宇宙物理連絡会、その他の方々から、支援の声明などを出して頂きました。その後押しを受け、文科省、ISAS/JAXA、企業の皆様のご理解を得て、再開できたこと、心より感謝申し上げます。
このミッションは打上げ後、様々な立ち上げの手順を進めているところでありまだまだ予断を許さない段階ですが、現状の報告をさせて頂きます。
- 衛星展開:打上げ後1日目に太陽電池展開。第二日に伸展式光学ベンチ伸展に成功した。構体としては最終形状になった。
- 軌道制御:姿勢の安定を待って、遠地点で加速を行い、高度570kmの円軌道に投入した。
- X線分光器(XRS):機械式冷凍機、断熱消磁冷凍機を動作させ、60 mKを達成した(これまでの衛星で実現された最も低い温度)。フィルターホイールの駆動も確認した。
- X線CCDカメラ(XIS):ペルチェクーラーを作動させ、-90度Cを実現。4台のカメラが較正用X線源からのX線を検出し、動作が確認できた。
- 硬X線検出器(HXD):光電子増倍管に予定の高圧900V、PINダイオードに予定のバイアス500Vを印加。36本の増倍管、64チャンネルのPINすべての動作が確認された。
衛星としては姿勢系の調整にもう少し時間をかける予定です。できれば今週中にパラメータ、アラインメント調整、確認の上、来週後半くらいから観測に入れたら良いと考えています。スペースミッションですから、常に何が起こるかまだ気を抜けませんが、ここまでは、順調に立ち上がって来ている事、ご報告致します。なお、衛星の名前としては、「すざく(Suzaku)」と命名されました。これからもこの「すざく」が立派な成鳥になり、わくわくする様なデータを出してくるのを、暖かく見守って頂きますよう、御願い致します。
井上一ほか、すざくチーム