銀河団 -- X 線で明らかになるダイナミックな描像

X 線で明るい銀河団

銀河団は「10-1000 個の銀河の集まり」として発見されました。その後観測が進むにつれて、銀河団の主役は銀河ではなく、ダークマターと高温ガスであることが明らかになりました。銀河団には 1000 万度を越える非常に熱いガスが存在し、それが X 線で明るく光っているのです。その質量は星や銀河の 5 倍にも及びます。

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左: ハッブル宇宙望遠鏡による銀河団 Abell 2218 の可視光画像 (Copyright NASA)、右: すざくによる X 線画像

上の図は可視光で見た銀河団と X 線で見た銀河団の画像を比べたものです。可視光では個々の銀河が見えますが、X 線ではのっぺりとした広がった放射が見えます。この放射の広がりは 数 100 万光年にも及んでおり、それだけの広い領域に X 線を出すような高温 (数億度) のガスが存在することを示しています。

高い運動エネルギーを持つ数億度のガスが銀河団につなぎとめられているということは、銀河団に強い重力ポテンシャルが存在することを示します。そのために必要な質量は、高温ガスと銀河の質量を全て足しても全く足りません。銀河団の重力ポテンシャルを作っている質量は、銀河でも高温ガスでもなく、ダークマターが担っているのです。銀河団には、高温ガスのさらに 10 倍程度の質量を占めるダークマターが存在するのです。

X 線分光観測

X 線で銀河団を観測すると何がわかるのでしょうか。まず、X 線分光観測 (スペクトロスコピー) から、銀河団中の重元素組成を知ることができます。銀河団の重元素は、もとをたどれば銀河団の中の銀河の中で起こった超新星爆発に起因します。超新星には重力崩壊でおこる II 型 (core collapse 型) と連星系が起こす Ia 型の 2 つの種類があり、前者は酸素などの比較的軽い元素を、後者は鉄など多くの元素を生成することが知られています。銀河団のスペクトルをしらべることで、過去に起こった Ia 型と II 型の数の比を知ることができるのです。

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銀河団ガスからの X 線スペクトル。いろいろな元素に特有な輝線が見える (金沢大佐藤浩介氏より)

また、X 線の輝度分布からは銀河団中の質量分布がわかります。銀河団の質量のほとんどはダークマターによるものですから、これはダークマターの分布を調べることに相当します。ダークマター自身は光を出さないのですが、X 線を使うことで見えないダークマターの分布に対する知見を得ることができるのです。

銀河団に関する最新の研究

「宇宙最大の天体、銀河団のダイナミックな進化にせまる」



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