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シリーズ「すざく観測速報」

2005年7月に打ち上げられたX線天文衛星「すざく」は現在, 順調に試験観測を続けており、すでにいくつかの科学的成果が挙がっています。本Webページでは今後何回かにわけて、「すざく」衛星の観測速報をお伝えしていきます。なお、これらの記事はすべて日本天文学会が発行する月刊誌「天文月報」に掲載されたものです。

すざく観測速報1: 銀河中心100光年の旅

〜その車窓には「極高温に浮かぶ超高温と極低温ガス」の世界〜

本記事は天文月報99巻2号に掲載されました。

我々の住む銀河の中心部, そこは様々な天体が集まり相互に干渉しあう様が見られる最高級の景勝地です.「すざく」のX線CCDカメラの, 極限まで高められたエネルギー分解能と大きな集光面積により, 驚くほど性質の違うガスが共存している光景が鮮明に浮かび上がりました. 図は絶対温度で典型的に十度,一億度,一千万度と全く異なった温度のガスの分布をとらえたものです. 中心核の射手座A付近を除くと, 比較的一様に一億度の極高温ガスが広がる中に極低温ガスの塊があり, その周りもまた超高温ガスに覆われている様子がわかります. これらのガスがどう混ざりあっているのか, どこから生じて来たのか,「すざく」の能力により次第に明らかにすることができるでしょう.


図:「すざく」で見た銀河系中心部. 上から中性鉄, 高電離鉄, 高電離硫黄からの輝線の強度分布. それぞれ絶対温度で十度,一億度,一千万度程度のガスの分布に対応する.

文責: 小山勝二(京大), 村上弘志(ISAS/JAXA)

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