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すざく観測速報2: 灰かぶりの惑星状星雲

〜炭素合成の現場をとらえる〜

本記事は天文月報99巻2号に掲載されました。

太陽の8倍より軽い平凡な星は, 進化の果てに生成した重元素を放出し, 最後には惑星状星雲として美しい姿を見せます. そのなかには星雲の内側からX線を放射するものがあり, これは中心星が最後に放出した物質を見ていることになります.「すざく」は惑星状星雲 BD +30 3639 を観測し, 強い炭素からの輝線を初めてはっきりと検出しました. これこそ, 中質量星の内部でヘリウム燃焼によって炭素が生成された現場であり,私たちの体をかたちづくる炭素も, はるか昔にこうして星で合成されたものなのです.


図:惑星状星雲 BD +30 3639 のチャンドラ衛星(黒)と「すざく」(青)で得たX線スペクトル. 太陽組成比を仮定したモデル(実線)に比べひじょうに強い炭素からの輝線が,「すざく」では, はっきりと見えている.

文責: 牧島一夫(東大・理研), 村島未生(東大)

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