白鳥座ループは, 一万年ほど前に太陽系からたった440パーセク(約1400光年)ほどで起きた超新星爆発の残骸です. そんな昔の爆発ですが, そこには今でも星の化石がそのまま残っています. 化石と言っても, 星の内部で生成された重元素です.「すざく」衛星はその高性能を発揮し, 図のように, 珪素, 酸素, 窒素さらに炭素などからの輝線をみごとに検出しました. 超新星によってまき散らされたこれらの元素が, 次の新しい星をつくる材料となってゆくのです.
図:白鳥座ループ北東端からのエックス線スペクトル。従来型のCCD(表面照射型の素子)に比べて、新しいCCD(裏面照射型の素子)は低エネルギー側で高い感度を持つ。炭素より重い重元素の輝線がずらりと並ぶ。