星が最後に爆発してできる中性子星は, わずか角砂糖(1cc)程度の大きさでも数億トン近くの重さとなる超高密度な天体です. その磁場は1億テスラにも達しており, ちょうど硬X線のエネルギー領域でサイクロトロン共鳴という物理現象を引き起こします. X線のスペクトル中に現れるその吸収構造は,「すざく」の絶好の観測対象となります. われわれは「すざく」の高感度を活かし, A0535+26という中性子星を観測し, 図のように150 keV までのびるX線スペクトルから, みごと, 3億テスラもの磁場を測定することに成功しています. このような観測を積み重ねることで, 宇宙の極限状態における物理を解き明かしていくのです.
図: 「すざく」衛星で得た中性子星A0535+26のX線スペクトル. 硬X線領域に強力な磁場によって吸収された構造がみえます.