超新星 1987A は, 1987年2月, 今から約19年前に大マゼラン星雲で出現したことでよく知られています. 大質量の星が重力崩壊を経て爆発したII型の超新星です.今なお秒速数千キロメートルで広がり続ける星の外層が, 天体を取りまくガスと衝突して加熱し,X線が放射されています.「すざく」による観測で(図), X線の急速な増光が続いていることが確認されました. 現在X線を放射しているガスは,爆発前の星が進化末期に星間空間に放出したものと考えられ,X線のスペクトルからその元素組成などを調べることで星の進化を探ることができます.また,「すざく」の高感度な硬X線観測を活かして, 超新星爆発で形成された可能性がある中性子星パルサーの存在を探る試みも続けています.
図: 「すざく」でとらえたSN1987A (中央). 左上は別の超新星残骸. 右上の丸印は「すざく」X線望遠鏡の空間分解能の大きさを示す.