銀河団には銀河の質量の数倍の数千万度の高温ガスが存在し, X線を放射しています. この銀河団ガスには大量の鉄や硅素などの重元素が含まれることが知られています. これらの重元素は, 銀河の中の超新星爆発によって合成され, 銀河間空間に放出されたと考えられています. しかし,重元素の中で最も豊富な元素である酸素の量は,銀河団中心部に位置する巨大楕円銀河であるcD銀河周辺部を除き,ほとんどわかっていませんでした.「すざく」により, この酸素の量を求めることが可能になってきました. 図は炉座銀河団のスペクトルです. cD銀河から遠く離れた銀河団ガスからも酸素, 鉄, マグネシウム, 硅素, 硫黄からの輝線がくっきりと検出されています. 「すざく」はこれらの重元素の起源にせまります.
図: 「すざく」の裏面照射型CCDで得られた炉座銀河団のX線スペクトル. cD銀河周辺は黒, 銀河団ガスの領域は青でプロットした.