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光と波長

光は真空中を秒速30万キロメートルの速さで進む波で、「電磁波」とも呼ばれます。

ある瞬間の波の様子は図1のようになります。図の山から山までの長さを、その波の「波長」といいます。波長がおよそ380 nmから770 nm(ナノメートル、1ナノメートルは1ミリメートルの百万分の1)の光は人間の目で感じることができ、光の中でも特に「可視光線」と呼ばれています。人間は可視光線の波長の違いを色として見分けます。もっとも波長の長い光が赤色で、順に橙、黄、緑、青と続き、もっとも波長の短い光が紫色です。

[波]
図1:波と波長

図2は電磁波の波長と種類を示したものです。可視光線は電磁波のほんの一部でしかありません。可視光線より波長の長い赤外線、電波、可視光線より波長の短い紫外線、X線、ガンマ線と、いろいろな種類の光が存在しています。X線の波長はおよそ0.01 nmから1 nmですから、可視光線の千分の1から十万分の1程度しかありません。波長が短いということは振動数あるいはエネルギーが高いということと同じで、X線は可視光線の千倍から十万倍という非常に高いエネルギーを持つ光なのです。

[電磁波の種類]
図2:電磁波の種類

図3:電磁波の用途
[電磁波の用途]

電磁波は、我々の身近で様々な用途に使われています。どのような用途に使われているかを簡単に図3にまとめてみました。波長の長い電波は主に放送や通信に、可視光付近の電磁波は照明や暖房器具に、波長の短いX線は高い透過力を利用して 人体や手荷物の透視に使われています。ところで、この図の中には、電磁波の分類として波長や振動数の他にエネルギーが使われています。電子ボルトというのはどういうエネルギーの単位なのか、次のページで見てみましょう。

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